ひらたこふんぐん
平田古墳群
◆平田古墳群◆
安濃町妙法寺の通称「平田山」と呼ばれる丘陵上に築かれた、全78基にのぼる古墳群です。昭和49年(17号墳のみ)と昭和61年~62年の二度の全域にわたる発掘調査の結果、5世紀中葉から7世紀末の長期にわたって造営された大古墳群であることが判明しました。
古墳群中で最古の35号墳からは、初期須恵器の範疇に含まれるものもあり、古墳群成立期の端緒となるものです。17号墳は竪穴系横口式石室の流れをくむ双 室墳で、有階状施設が認められます。出土遺物をみても有蓋の平底壷などは県内ではあまり例がなく異系統のものです。また、12号墳は磚槨式横口式石槨とい うレンガ状の石材を積み上げた石室形態をもつ、県下で唯一の特殊な石室です。
安濃地区内の現在の地名にも、「村主(すぐり)」など渡来系氏族に関係するものがあり、古墳時代には先進文化の導入をいち早く、強く受けた地域としてとらえることができます。
安濃川流域の中世遺跡で出土する土器をみてみると、ひとつは在地で作られた土師器類、そしてもうひとつは尾張地域で生産された山茶碗や古瀬戸を中心とした陶器類です。
特に、後者の陶器類は、日常生活の使用に加え、中世墓の供献品あるいは蔵骨器として用いられる場合が多い。一方、土師器類の鍋や羽釜には煤が付着するなど、生活用具として使用された痕跡が明瞭です。
こうした土師器類でも、南伊勢地域を中心に分布する鍋は形態的な特徴をもち、伊勢湾周辺はもちろん関東地方など遠距離にある遺跡からの出土も報告されています。