〈企画展〉三重縣護國神社の宝刀と津藩
三重縣護國神社は、明治2年(1869)、第11代津藩主・藤堂高猷(とうどうたかゆき)が津八幡宮(津市八幡町)に小祠を建て、戊辰(ぼしん)戦争で戦死した藩士を祀り、「招魂社」(しょうこんしゃ)と称したのが始まりです。明治42年(1909)には現在の津市広明町に遷座し、のちに「三重縣護國神社」と社名を改めました。
同社は、幕末に津藩で受容された刀剣を多数所蔵しています。これらの刀剣は多くが津藩士の家々の旧蔵で、城下町である津の刀剣文化をしのぶ貴重な作品です。また、近年の調査で同社の創建に関わる資料の発見が相次ぎ、津の幕末・維新史に新たな光が当たりつつあります。
こうした調査成果を踏まえ、本展では、三重縣護國神社の宝刀に加え、創建の契機となった戊辰戦争に注目します。中でも、新政府軍の将として津藩士1000名以上を率い、関東・東北で旧幕府方と戦った藤堂高泰(とうどうたかやす)(津城代家老、のち初代百五銀行頭取)に焦点を当てます。洋式に整備した津藩士を統率して、とくに東北の諸藩を相手に奮戦したのが高泰でした。招魂社が創建されると、慰霊の志から瓶子などの宝物を寄進しています。
本展は、三重縣護國神社の社宝や関連する文化財がまとまって展示される、初めての機会です。日本の近代史と歩みをともにした同社に思いを馳せるとともに、津の武家文化の精華をご鑑賞ください。